先日、FMC東京クリニックで胎児ドックを受けてきました。
当日の様子などは妻が書いていますので、この記事ではクリニックで説明された検査によってわかる先天的異常について詳しく解説します。
先にポイントを書いておきますので、さらに詳しく知りたい方は読み進めてみてください。
- 先天的異常の割合は3〜4%
- 先天的異常=染色体異常ではない
- 染色体異常以外の問題が大半
- 染色体異常以外の疾患の一部は治療可能
- ダウン症の出産率は約3割
- 13・18トリソミーの出産率は数%
- 初期流産の原因は染色体異常が大半
- 染色体の分配ミスが根本的原因の一つ
- 加齢による染色体異常の確率(表)は、採卵して新鮮胚移植した場合の出産時年齢(出産予定日の年齢)が該当することに注意
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先天的異常を持って生まれてくる胎児の割合
まず、この検査でわかる「先天的異常」について詳しく説明します。
先天的異常を持って生まれてくる赤ちゃんの割合は約3〜4%。
年間100万人の子供が生まれることを考えると、その数は3〜4万人と推定されます。
先天的異常について詳しく説明する前に、まずは染色体について簡単におさらいしましょう。
「染色体」とは
染色体を簡単に言うと、DNAを内包したもので、いわば体を作る設計図。
人間は2本1組で計23組の46本の染色体を持っています。
大人の体は約60兆個の細胞で構成され、これらひとつひとつに染色体が入っているんです。
性別を決めるのは23組目の染色体で、この染色体の組み合わせによって
- X + X =女の子
- X + Y =男の子
となります。
ちなみに、
- X 1本 =女の子
- X + X + Y =男の子
- X + X + X =女の子
- X + Y + Y =男の子
といった、45本、47本といったパターンもあります。
こちらについては後述します。
3〜4%の先天的異常の内訳や種類
先天的異常は以下の3つに大別されます。
種類 | 割合 | |
---|---|---|
1 | 染色体の問題 | 〜1% |
2 | 染色体以外の問題 | 2〜3% |
3 | その他 | ー |
表右端の割合をみてください(赤字)。
てっきり
先天的異常 = 染色体異常
だとばかり思い込んでいましたが、全体の先天的異常の3〜4%の大半を占めるのは、「染色体以外の問題」のようです。
それでは各問題について詳しく説明します。
染色体の問題について(〜1%)
染色体の問題は女性の(卵)年齢とともに増加します(明確に「卵の年齢」とは説明されませんでした。この点は個人的推測を含みます)。
染色体の問題とは、染色体の本数の異常によって引き起こされるものです。
具体的にいうと、
があります。
これらの症状としては、
- 知的障害
- 発達の遅れ
- 形態異常などを伴う可能性
などがあります。
【ダウン症候群】
21トリソミーとも言われます。
トリソミーとは染色体が3つあること。
21トリソミーとは21組目の染色体が3本あるということです。このことをダウン症候群と言います。
21トリソミーの場合、その出産率は3割ほど。つまり7割は出産に至りません。
ダウン症の大人は小学校4〜5年生位の能力があり読み書きも可能で、多少思考や言動に幼さは残るものの一人で生活することは十分に可能だと言われています。
【18トリソミー】
18組目の染色体が3本あることです。
こちらはダウン症に比べて症状が非常に重いです。
その理由は、21組目の染色体に比べて大きく、それだけ多くの情報を保持しているためです。
18トリソミーの場合、出産率は数%です。つまりほとんどが出産に至りません。
【13トリソミー】
13組目の染色体があることです。
こちらもダウン症に比べて症状が非常に重いです。
その理由は、21組目の染色体に比べて大きく、それだけ多くの情報を保持しているためです。
18トリソミーの場合、出産率は数%です。つまり、ほとんどが出産に至りません。
染色体異常による流産の仕組みについて
ちなみにこの13、18、21組以外が3本だった場合はどうかというと、まず生まれません。
よって、検査ではこの3つを確認します。
この46本の染色体には約4万個の設計図が入っていると言われていて、精子と卵子が持ち寄る染色体の各組がうまく対にならないと、設計図通りにパーツを作ることができません。
よって、その場合は成長をストップさせて流産させるという仕組みになっています。
この染色体異常による流産は妊娠初期に多く、約半分が染色体異常によるものだと言われています。
染色体異常に起因する流産の原因の一つ
うまく対にならない原因の一つとして、精子と卵子への染色体の分配ミスがあります。
精子と卵子は23組(計46本)から各組1本づつ計23本持って出会い受精します。両者が23本づつ持ち寄り46本(23組)にすることで胎児が形成されていくのです。
しかし、そもそも精子と卵子各自が23本ではなく、22本だったり、24本だったりとうまく染色体を分配してもらえていないと、受精しても互いに数が合わないため、各パーツをうまく作ることができず、結果流産となってしまいます。
ただ、13、18、21組目の染色体についてだけは、例えば精子1本+卵子2本の計3本でも、出産に至ることが稀にあるというわけです。
こういった分配のミスは頻繁に起こっているらしく、そういった適正に分配がされていない両者が受精した場合は、妊娠に気づく前にほとんど流れてしまいます。
この説明を聞いてあくまで個人的な感想ですが、受精をすることはそれほど難しくはないが、受精後の染色体のすり合わせ(減数分裂)は難しい、ということかなと思いました。受精しないのではなく、受精してから成長させていくことが難しいのだと。
そして、卵子の老化とは、年齢を重ねるごとに染色体を適正に分配できない頻度(確率)が上がることなのかなとも感じました(卵子と違い精子は常に作られるので、加齢に伴う確率の変動は小さく、一定というのが定説の様です)。
この分配の仕組みについては、世界中で研究中とのこと。
染色体以外の問題(2〜3%)
染色体以外の問題は、年齢とあまり関係はないと言われています。
どういったものがあるかというと、
中でも最も多いのが心臓や血管の形態異常で、上記の中の1/2〜3に当たる1%近くを占めます。
そしてこの染色体以外の問題については、症状によっては出産後に手術などで治療をすることが可能です。
その他の問題について
こちらは、原因となる遺伝子異常が特定されていない限り、出生前の診断で見つけることは極めて難しいものとなります。
どういうものがあるかというと、
これらは生まれてから時間を経てわかることが多いようです。
母体年齢による染色体異常(ダウン症)の出生頻度について
母体の年齢に伴う染色体異常の確率をまとめてみました。
グラフにするとこのような曲線を描きます。
高齢出産と言われる35歳前後から上昇を始め、43歳付近からそのカーブはよりきつくなっていきます。
更に実際には、ダウン症などの染色体異常を持つ胎児が妊娠途中で流産や死産となることがある為、妊娠初期・中期の胎児が染色体異常を持つ確率は、この表の数値よりも高くなります。
そして、ここからが不妊治療をしている方に重要な部分なのですが、この表の確率は出産予定日の年齢における確率ということです。
これはどういうことかというと、採卵して凍結せずに移植した場合に、その子供を産む時=出産予定日時の年齢が該当します。
極端な例で言えば10年前の30歳の時に採卵凍結していて、40歳の時に移植し妊娠した場合は、採卵して凍結せずに新鮮胚で移植した場合の出産時年齢をみるので、40〜41歳の欄ではなく、30〜31歳の欄を見ると言うことになります。
ということはつまり、染色体異常は妊娠時の年齢よりも、卵の年齢に影響を受けると言えるのではないでしょうか。
性染色体について
上述の通り、性別を分けるのは23番目の染色体で決まります。
23番目の染色体が
- X + X =女の子
- X + Y =男の子
となります。
ちなみに、
- X 1本 =女の子
- X + X + Y =男の子
- X + X + X =女の子
- X + Y + Y =男の子
このようなパターンもあります。
1、2は問題がありますが、3、4は全く問題がないという説明でした。
まず1のX染色体1本の女性は、ターナー症候群と呼ばれ、
- 低身長
- 約8割が無月経
- 月経が来ても早期閉経
といった特徴があります。
また、2のX染色体が2本でY染色体が1本の計3本の男性は、クラインフェルター症候群と呼ばれ、
- 学習障害
- 長い腕と脚
- 小さな精巣
- 無精子症による不妊
といった特徴があります。
そして3と4は、XXの女性、XYの男性となんら変わらないとのこと。
もしかすると自分も4の可能性も大いにありうるくらい身近なレベルの話だそう。
まとめ
これまで、なんとなくしか理解していなかったのですが、カウンセリングを受けたことで先天的異常についてクリアに理解することができました。
まとめると、
- 先天的異常の割合は3〜4%
- 先天的異常=染色体異常ではない
- 染色体異常以外の問題が大半
- 染色体異常以外の疾患の一部は治療可能
- ダウン症の出産率は約3割
- 13・18トリソミーの出産率は数%
- 初期流産の原因は染色体異常が大半
- 染色体の分配ミスが根本的原因の一つ
- 加齢による染色体異常の確率(表)は、採卵して新鮮胚移植した場合の出産時年齢(出産予定日の年齢)が該当することに注意
となります。
悪いことを想像すればするほどに、その確率が高くみえてしまいがちですが、逆からみれば低い確率(3〜4%)であることがわかります。ダウン症を含む染色体異常に限って言えば1%以下です。
その大半は、手術などの治療によって治せる染色体異常以外の問題が多いということを知れたことは大きかったですね。
この検査を受けるまで迷いましたが、こういった点をしっかりと理解できたことで、少なからず心の準備ができたと思っています。
オススメするとか、そういう気持ちは全くないですが、今回受診したことが悪かったなという気持ちは感じませんでした。
次回は各検査の詳しい内容について書きます。
夫
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