【兵庫】不妊治療クリニックの妊娠率等の実績開示状況を調査。公表成績を年齢別に並べてみた

神戸
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今回は兵庫県を調べてみました。

医療機関の実績開示状況
これまでの調査結果一覧

本記事は、2019年5月下旬に調査を実施し、

 

  • 公表しているクリニックは?
  • 妊娠=胎嚢確認としているのは?
  • 年齢ごとに妊娠率を並記してみた

 

という観点で構成しています。

もしかすると漏れや誤りがあるかもしれませんが、その際はそっとDMかコメント欄よりご指摘いただけると有難いです。

業界をなんとなく俯瞰する一つの視点としてお読み頂けると幸いです。

では行きましょう。

注意
クリニックのウェブサイトは更新される性質につき、本調査時点の表示・表現、結果と必ずしも一致しない可能性がありますこと予めご理解ください。

 

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公表しているクリニックは33%

2019年5月現在、日本産科婦人科学会登録の「体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録施設」は30となっており、(病院を除いた)いわゆる専門クリニック(産婦人科含む)で絞り、開院から1年経過していない1院を除くと、実質対象となるのは24でした。

この24院全てのウェブサイトを調べるにあたって基準としたのは、

 

  • 治療成績の特設ページを設けている
  • 又はその他ページで実績についてある程度スペースを割いている

 

と特設ページの有無、あるいは無くとも他のページである程度実績についてスペースを割いているクリニックを抽出しました。

この基準で調べたところ、治療実績を公表しているのは24院中、

 

8院(33%)

 

でした。

以下が公表(成績に言及)している8クリニックです(日産婦名簿記載順)

  1. 久保みずきレディースクリニック菅原記念診療所
  2. 除クリニック
  3. 親愛産婦人科
  4. Kobaレディースクリニック
  5. 英ウィメンズクリニック
  6. 親愛レディースクリニック
  7. 神戸元町夢クリニック
  8. オカダファミリークリニック

※ウェブサイト内「不妊治療について」のページ内に「当院のこれまでの成績」という項目があるものの、データ量に乏しい 中村レディースクリニックは除外しています。

公開情報の内容や表現方法は様々

もちろん公表しているといっても詳細データを全公開しているわけではなく、あくまで

 

  • 妊娠率
  • 妊娠数

 

を、

 

  • 年齢別
  • 年代別
  • 誘発方法別(自然〜刺激)
  • 受精方法別(人工授精〜体外受精)
  • 胚グレード別
  • 年・年度別  などなど…

 

といった角度やメッシュから自由に算出していて、基礎となる生データのフォーマット自体は同じなんでしょうが、公表にあたってはその表現方法は様々というのが現状です。

 

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妊娠の定義を「胎嚢確認」と明示しているクリニック

妊娠の定義を「胎嚢確認(臨床妊娠)」と明確に記載しているクリニックが8院の中でどれくらいあるのかを調べてみました。

結果は、

 

  1. 久保みずきレディースクリニック菅原記念診療所
  2. 除クリニック
  3. 親愛産婦人科
  4. Kobaレディースクリニック
  5. 英ウィメンズクリニック
  6. 神戸元町夢クリニック
  7. オカダファミリークリニック

 

7院と、ほぼ記載がありました。

 

年齢ごとの妊娠率を比較

表現の方法が一緒ではないので、前提を揃えて公平に比較するのは難しいですが、記載のある年齢や年齢帯の妊娠率または妊娠数

 

  • 妊 娠:心拍/胎嚢確認 > 陽性判定
  • 種 類:体外 > 顕微 > 人工授精 >
  • 誘 発;刺激 > 自然
  • 段 階:凍結胚 > 新鮮胚
  • 分 割:胚盤胞 > 分割胚 >
  • 質評価:合計 > 最良 > 良好 >
  • 個 数:1個 > 2個
  • 期 間:最新(含む) >>>
  • 妊娠率:移植 > 採卵 > 患者 あたり

 

と、各CLのウェブサイトに上記左側からの項目記載がある条件での妊娠率または妊娠数を年齢や年齢帯ごとに並べてみました(上記各項の左から最初にヒットした条件における妊娠率をピックアップし並べたもの)。

兵庫の不妊治療クリニックの妊娠率実績一覧

年齢帯のくくりが様々ですね。

見やすいように似たメッシュで表記しているクリニックを近づけて並び替えてみましょう。

兵庫の不妊治療クリニックの妊娠率実績一覧

年齢帯ごとに分割している数でみると、

 

  • 分割無 → 1院(12.5%)
  • 3分割 →  1院(12.5%)
  • 4分割 →  3院(37.5%)
  • 5分割 →  1院(12.5%)
  • 9分割 →  1院(12.5%)
  • 18分割 →  1院(12.5%)

 

年齢は細かく区切って出しているところが多いですね。

上記比較は既述の通り、前提条件や妊娠の定義が一緒ではありませんので、単純に比較できないことにご注意ください。

 


2020年1月19日 追記

本記事を読まれて英ウィメンズクリニックに通い始めた方から、以下のような情報提供を頂いたので追加情報として参考までに記載します。なお以下資料は同院の説明会で配布された資料とのこと(2019年後半の説明会にて)。

英ウィメンズクリニック_妊娠率

これをみると、採卵から移植に至った率は約71%(=28,444÷39,900)で、移植あたりの妊娠率(臨床妊娠=胎嚢確認)は31.4%となっています。ただ、臨床妊娠数を胚移植周期数で割ると約42%ですので、おそらくこの31.4%という数字は臨床妊娠後の流死産を除いた、生産率(出産に至った率)ではないかと推測されます。


 

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まとめ

開示率はそれほど高くないですね。 

都道府県 開示率
福岡 83%
神奈川 62%
大阪 59%
愛知
東京 41%
宮城 40%
北海道 37%
兵庫 33%
埼玉 22%
千葉

 

毎度同じ「まとめ」

データの開示はクリニック選びの一つの参考にはなるものの、妊娠〜出産に至るには様々な要因があるため、一概に妊娠率が高いクリニックがイコール必ずしも自身に合うということではなく、それはまた別の話であることを認識しておく必要があると考えます。

さらにいえば、クリニックの自主性に任せたデータ開示は恣意的になっていないとも言えないですし、また中途半端に表層的なデータ開示にとどまることで、悪くいえば「妊娠率が高いか低いか」と読み手側の選定基準を極端に「単純化」させてしまわないかと危惧する部分もあったりします。端的に丸められた結果だけでなく、その結果の過程(根拠)を確認できる情報もセットされていることが大事かなと。

ということで、一箇所で比較検討できるように学会が詳細データを公開してくれると良いんですけどね。公的機関による開示なら公正でしょうし(と信じています)。

Surveillance

アメリカは不妊治療の成功率の報告義務がある、とな!日本にもそんな仕組みが欲しい…

2019年2月17日
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約4年半にわたる不妊治療の記録を綴っています。体験したからこそ感じた不妊治療を取り巻く「内」と「外」の課題。顕在化しづらいこの課題の軽減・解決、そのギャップを埋めるべく夫婦で取り組んでいます。「不妊治療を身近な選択肢に」が当たり前の世界にしていきます。
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