東京都内クリニックの治療成績開示状況を先日調べましたが↓
今回、大阪も同様に調べてみました。
本記事は、2019年5月中旬に調査を実施し、
- 公表しているクリニックは?
- 妊娠=胎嚢確認としているのは?
- 年齢ごとに妊娠率を並記し比較
という観点で構成しています。
もしかすると漏れや誤りがあるかもしれませんが、その際はそっとDMかコメント欄よりご指摘いただけると有難いです。
業界をなんとなく俯瞰する一つの視点としてお読み頂けると幸いです。
では行きましょう。
クリニックのウェブサイトは更新される性質につき、本調査時点の表示・表現、結果と必ずしも一致しない可能性がありますこと予めご理解ください。
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公表しているクリニックは59%
2019年5月現在、日本産科婦人科学会登録の「体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録施設」は42となっており、(病院を除いた)いわゆる専門クリニック(産婦人科含む)で絞り閉院した1院を除くと、実質稼働しているのは34院となっています。
この34院全てのウェブサイトを調べるにあたって基準としたのは、
- 治療成績の特設ページを設けている
- 又はその他ページで実績についてある程度スペースを割いている
と特設ページの有無、あるいは無くとも他のページである程度実績についてスペースを割いているクリニックを抽出しました。
この基準で調べたところ、治療実績を公表しているのは34院中、
20院(59%)
と東京(30/72)と比べると2割ほど高い開示率となっていました。
ということで以下が公表(成績に言及)している20クリニックです(日産婦登録番号順)↓
- いしかわクリニック
- 吉本婦人科クリニック
- なかむらレディースクリニック
- 西川婦人科内科クリニック
- 越田クリニック
- 大阪NewARTクリニック
- うめだファティリティークリニック
- IVF大阪クリニック
- IVFなんばクリニック
- ルナレディースクリニック
- 府中のぞみクリニック
- 扇町ARTレディースクリニック
- 天の川レディースクリニック
- 奥田産婦人科
- レディースクリニック北浜
- 園田桃代ARTクリニック
- 後藤レディースクリニック
- リプロダクションクリニック大阪
- レオゲートタワーレディースクリニック
- KAWAレディースクリニック
※HORACグランフロント大阪クリニックは「IVF JAPANグループ全体の成績」の記載はあるものの単体成績がないため除外しています(IVFJAPANグループには、IVF大阪クリニック、IVFなんばクリニックがあります)
公開情報の内容や表現方法は様々
もちろん公表しているといっても詳細データを全公開しているわけではなく、あくまで
- 妊娠率
- 妊娠数
を、
- 年齢別
- 年代別
- 誘発方法別(自然〜刺激)
- 受精方法別(人工授精〜体外受精)
- 胚グレード別
- 年・年度別 などなど…
といった角度やメッシュから自由に算出していて、基礎となる生データのフォーマット自体は同じなんでしょうが、公表にあたってはその表現方法は様々というのが現状です。
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妊娠の定義を「胎嚢確認」と明示しているクリニック
妊娠の定義を「胎嚢確認(臨床妊娠)」と明確に記載しているクリニックが20院の中でどれくらいあるのかを調べてみました。
結果は、
- いしかわクリニック
- IVF大阪クリニック
- IVFなんばクリニック
- ルナレディースクリニック
- 府中のぞみクリニック
- 奥田産婦人科
- 園田桃代ARTクリニック
- 後藤レディースクリニック
- リプロダクションクリニック大阪
- レオゲートタワーレディースクリニック
の計10院と、公表している20院の半分でした。
年齢ごとの妊娠率を比較
表現の方法が一緒ではないので、前提を揃えて公平に比較するのは難しいですが、記載のある年齢や年齢帯の妊娠率または妊娠数を
- 妊 娠:心拍/胎嚢確認 > 陽性判定
- 種 類:体外 > 顕微 > 人工授精 >
- 誘 発;刺激 > 自然
- 段 階:凍結胚 > 新鮮胚
- 分 割:胚盤胞 > 分割胚 >
- 質評価:合計 > 最良 > 良好 >
- 個 数:1個 > 2個
- 期 間:最新(含む) >>>
- 妊娠率:移植 > 採卵 > 患者 あたり
と、各CLのウェブサイトに上記左側からの項目記載がある条件での妊娠率または妊娠数を年齢や年齢帯ごとに並べてみました(上記各項の左から最初にヒットした条件における妊娠率をピックアップし並べたもの)。
以下表のクリニック表記は、W=ウィメンズ、L=レディース、CL=クリニックとの略称で表記しています。
年齢帯のくくりが様々ですね。
見やすいように似たメッシュで表記しているクリニックを近づけて並び替えてみましょう。
※吉本婦人科クリニックは人工授精の妊娠率
年齢帯ごとに分割している数でみると、
- 分割無 → 4院(20%)
- 2分割 → 1院(5%)
- 3分割 → 2院(10%)
- 4分割 → 8院(40%)
- 5分割 → 4院(20%)
- 8分割 → 1院(5%)
個人的には最低でも、〜30代前半・後半・40代以上という年齢帯で分かれている、3分割以上のクリニックは親切だなと感じますね。
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まとめ
東京より開示率(成績への言及)は高いですね。
また東京では非開示だった永遠幸グループでしたが、大阪では同グループの「なかむらレディースクリニック」が治療実績ページを設けていたのは意外でした。
あと個人的に思うのは、大阪に限らずほとんどが「移植あたりの妊娠率」なんですが、治療の大きな部分を占める「採卵」を含んだ妊娠率もあった方がより現実的なのではと思ったり(少ないですが採卵あたりの妊娠率を開示しているクリニックもありました)
- 臨床妊娠(胎嚢確認)
- 年齢別採卵あたり妊娠率
- 年齢別移植あたり妊娠率
を最低どこも開示してくれるとわかりやすいのになぁと。さらにグレードや誘発方法などで細かく分けて見られれば尚良いですけどね。
とはいえ、データの開示はクリニック選びの一つの参考にはなるものの、妊娠を成立させ出産に至るには様々な要因があるため、妊娠率が高いクリニックが必ずしも自身に合うかはまた別の話であることには注意が必要だと思います。
さらにいえば、クリニックの自主性に任せたデータ開示は恣意的になっていないとも言えないですし、また中途半端に表層的なデータ開示にとどまることで「妊娠率が高いか低いか」と読み手側の基準を「単純化」させてしまわないかと危惧する部分もあったりします。端的に丸められた結果だけでなく、その結果の過程(根拠)を確認できる情報もセットされていることが大事かなぁと。
ということで、一箇所で比較検討できるように学会が詳細データを公開してくれると良いんですけどね。公的機関による開示なら公正でしょうし。
次回、愛知やります。
夫
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