東京、大阪に引き続き↓
愛知も同様に調べてみました。
本記事は、2019年5月中旬に調査を実施し、
- 公表しているクリニックは?
- 妊娠=胎嚢確認としているのは?
- 年齢ごとに妊娠率を並記し比較
という観点で構成しています。
もしかすると漏れや誤りがあるかもしれませんが、その際はそっとDMかコメント欄よりご指摘いただけると有難いです。
業界をなんとなく俯瞰する一つの視点としてお読み頂けると幸いです。
では行きましょう。
クリニックのウェブサイトは更新される性質につき、本調査時点の表示・表現、結果と必ずしも一致しない可能性がありますこと予めご理解ください。
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公表しているクリニックは59%
2019年5月現在、日本産科婦人科学会登録の「体外受精・胚移植の臨床実施に関する登録施設」は41となっており、(病院を除いた)いわゆる専門クリニック(産婦人科含む)で絞り閉院予定の1院を除くと、実質対象となるのは29院となります。
この29院全てのウェブサイトを調べるにあたって基準としたのは、
- 治療成績の特設ページを設けている
- 又はその他ページで実績についてある程度スペースを割いている
と特設ページの有無、あるいは無くとも他のページである程度実績についてスペースを割いているクリニックを抽出しました。
この基準で調べたところ、治療実績を公表しているのは29院中、
17院(59%)
と、東京(30/72→41%)と比べると2割ほど高く、大阪(20/34→59%)とほぼ同率となりました。
ということで以下が公表(成績に言及)している17クリニックです(日産婦名簿記載順)↓
- さわだウィメンズクリニック
- 山口レディースクリニック
- 稲垣婦人科
- いくたウィメンズクリニック
- 浅田レディース勝川クリニック
- 野崎クリニック
- つつじが丘ウィメンズクリニック
- 可世木レディスクリニック
- 森脇レディースクリニック
- ダイヤビルレディースクリニック
- 竹内産婦人科
- 浅田レディース名古屋駅前クリニック
- あいこ女性クリニック
- ロイヤルベルクリニック
- グリーンベルARTクリニック
- おかだウィメンズクリニック
- フラワーベルARTクリニック
※浅田グループは上記2院+東京の品川院の成績も合算されているので単体ではありません。仮にこの2院を抜けば計15院となり、開示率は52%となります。
公開情報の内容や表現方法は様々
もちろん公表しているといっても詳細データを全公開しているわけではなく、あくまで
- 妊娠率
- 妊娠数
を、
- 年齢別
- 年代別
- 誘発方法別(自然〜刺激)
- 受精方法別(人工授精〜体外受精)
- 胚グレード別
- 年・年度別 などなど…
といった角度やメッシュから自由に算出していて、基礎となる生データのフォーマット自体は同じなんでしょうが、公表にあたってはその表現方法は様々というのが現状です。
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妊娠の定義を「胎嚢確認」と明示しているクリニック
妊娠の定義を「胎嚢確認(臨床妊娠)」と明確に記載しているクリニックが17院の中でどれくらいあるのかを調べてみました。
結果は、
- 稲垣婦人科
- 浅田レディース勝川クリニック
- 浅田レディース名古屋駅前クリニック
- あいこ女性クリニック
- ロイヤルベルクリニック
- おかだウィメンズクリニック
の計6院と、公表している17院の1/3程でした。
年齢ごとの妊娠率を比較
表現の方法が一緒ではないので、前提を揃えて公平に比較するのは難しいですが、記載のある年齢や年齢帯の妊娠率または妊娠数を
- 妊 娠:心拍/胎嚢確認 > 陽性判定
- 種 類:体外 > 顕微 > 人工授精 >
- 誘 発;刺激 > 自然
- 段 階:凍結胚 > 新鮮胚
- 分 割:胚盤胞 > 分割胚 >
- 質評価:合計 > 最良 > 良好 >
- 個 数:1個 > 2個
- 期 間:最新(含む) >>>
- 妊娠率:移植 > 採卵 > 患者 あたり
と、各CLのウェブサイトに上記左側からの項目記載がある条件での妊娠率または妊娠数を年齢や年齢帯ごとに並べてみました(上記各項の左から最初にヒットした条件における妊娠率をピックアップし並べたもの)。
年齢帯のくくりが様々ですね。
見やすいように似たメッシュで表記しているクリニックを近づけて並び替えてみましょう。
年齢帯ごとに分割している数でみると、
- 分割無 → 5院(29%)
- 2分割 → 1院(6%)
- 3分割 → 3院(18%)
- 4分割 → 5院(29%)
- 5分割 → 3院(18%)
個人的には最低でも、〜30代前半・後半・40代以上という年齢帯で分かれている、3分割以上のクリニックは親切だなと感じますね。
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まとめ
ほぼ大阪と変わらない結果となりました。
ただ、肌感覚的としては開示率はほぼ一緒ですが、開示している内容の「濃さ」でみるといくぶん愛知の方がライトな感じがしましたね。治療成績を「独立したページ」として設けている割合も相対的に少なかったように感じます(「不妊治療」や「体外受精について」といったページ内の一項目として記載されているといった感じ)。
文章中にちょこっとサンドされていたりして、結構注意しないと見落としそうになるところもままありました。
また日産婦の名簿の上の方から下に調べて行ったのですが、実績を開示しているのは比較的名簿下方のクリニックに集中していました。おそらくこの並びは登録順だと思われ、上にいく程、登録してからの歴史が長い(≒創立が古い)クリニックなんだと思います。
(ちょっと極端な表現ですが)上=古い、下=新しいとすれば、後発参入となる下方のクリニックは業界内でのプレゼンス向上のため「成績開示」をよりアピールしているということかもしれません。
下に行くほど、ウェブサイトも「イケてる」色が強かったように思います。
データの開示はクリニック選びの一つの参考にはなるものの、妊娠〜出産に至るには様々な要因があるため、一概に妊娠率が高いクリニックがイコール必ずしも自身に合うということではなく、それはまた別の話であることを認識しておく必要があると考えます。
さらにいえば、クリニックの自主性に任せたデータ開示は恣意的になっていないとも言えないですし、また中途半端に表層的なデータ開示にとどまることで、悪くいえば「妊娠率が高いか低いか」と読み手側の基準を「単純化」させてしまわないかと危惧する部分もあったりします。端的に丸められた結果だけでなく、その結果の過程(根拠)を確認できる情報もセットされていることが大事かなと。
ということで、一箇所で比較検討できるように学会が詳細データを公開してくれると良いんですけどね。公的機関による開示なら公正でしょうし(と信じています)。
次回、北海道やります。
夫
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