卵子凍結を検討中の友人が、京野アートクリニック高輪でのセミナー(カウンセリング)↓
に続き、昨年オーク銀座レディースクリニックの卵子凍結説明会に参加したレポートを共有してくれたのでまとめました。
オーク銀座の説明会に参加した友人の感想としては、
- 症例数が多い
- 料金体系が明朗
- コストも比較的良心的
- お茶会で質問ができる
と言う点でこれまで検討したクリニックの中では一番惹きつけられたそうです。
本記事では、
- 卵子の話と卵子凍結の目的
- 卵子凍結のメリットとデメリット
- 実績(妊娠率・生産率など)
- 採卵凍結のスケジュールと費用
- 融解移植のスケジュールと費用
についてまとめています。
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卵子の話と卵子凍結の目的
卵子は、
新たに作られることはなく減り続ける
年齢とともに卵子の質は低下する
とされている。
胎児の頃に卵子の元となる細胞を約700万個ほど有し、生まれる時には卵子に成長するもののその数は約200万個にまで減少。さらに初潮を迎える頃には30万個にまでに減り、以降も増えることはなく減り続ける。
つまり実年齢と卵子(卵巣)年齢は同じ。よって加齢による老化は必然。
卵子は排卵されるまで第一減数分裂前期(未熟な状態)でとどまっていて、初潮を迎え性腺刺激ホルモンを受けると、再び分裂を始め極体を放出し成熟する。
そしてその中の1つの卵子が1回の生理周期で排卵される。その1回の生理の裏では400〜1,000個の卵子を失っている。
体内に長くとどまる期間が長いと、排卵に向けた際に分裂(染色体の分配)がうまくいかない卵の割合が上がる。これが卵子の老化の具体的影響。
通常妊娠率や生産率は35歳前後を境に下がり始め、逆に流産率は上がっていくのが一般的だが、卵子提供が盛んな海外では、35歳以降の方でも若い人の卵子の提供を受けた場合は下降せずほぼ横ばいの推移となっている。
すなわち、30歳の卵なら40歳で妊娠しても30歳の妊娠率や生産率が期待できる、ということ。
また、若い方の卵子を使っても母体が高齢だと妊娠はしづらいのではないかとの質問も多いが、海外の統計データを見る限りあまり影響はない。
つまり半永久的に保存が可能な卵子凍結を行う目的を端的に言えば、
卵子の質が下がる前で、かつたくさん取れる可能性のあるうちに確保することで、将来の妊娠に備える
ということ。
卵子凍結のメリット/デメリット
- 早期閉経
- 卵巣の病気
- ガン
などの年齢的なリスクや疾患リスクを回避する有効な選択肢の一つ。
デメリットは、
- 高額な費用がかかる
- 投薬による身体的負担(OHSS等)
- 穿刺による腹腔内出血や感染症リスク
- 血液製剤使用による感染リスク
- 高年妊娠〜出産リスク
- 天災や倒産による保管未完遂のリスク
- 凍結=妊娠が約束されるものではない
全くのノーリスクではないが、特に感染症や保管については限りなくそのリスクは低い。
ただ卵子を凍結したからといって妊娠を約束するものではない、という点はしっかりと認識しておく必要がある。
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実績(妊娠率・生産率など)
(日本産科婦人科学会倫理委員会 登録・調査小委員会報告のデータをもとに)凍結卵子による本邦の妊娠成績は以下の通り。
移植周期 | 妊娠 | 生産 | |
---|---|---|---|
2008 | 52 | 13.5% (7) |
5.8% (3) |
2009 | 166 | 7.8% (13) |
6.6% (11) |
2010 | 91 | 19.8% (18) |
9.9% (9) |
2011 | 63 | 27.0% (17) |
20.6% (13) |
2012 | 68 | 8.8% (6) |
5.9% (4) |
2013 | 74 | 21.6% (16) |
9.5% (7) |
2014 | 109 | 19.3% (21) |
14.7% (16) |
計 | 623 | 15.7% (98) |
10.1% (63) |
2008年から2014年迄で623周期移植が行われ、うち15.7%にあたる98周期で妊娠が確認され、10.1%にあたる63人の子供が生まれている。
尚、生殖補助医療の生産率は11.7%。
以下は同院の凍結卵子による妊娠成績↓
成績 | ※2社会適応 | ※3医学適応 | 合計 |
---|---|---|---|
使用胚数 | 48 | 39 | 87 |
患者数 | 16 | 18 | 34 |
周期数 | 35 | 36 | 71 |
採卵時年齢 | 41.0 | 36.7 | 38.8 |
妊娠 (%) | 7 (20.0%) |
6 (16.7%) |
13 (18.3%) |
※1生産 (%) | 4 (11.4%) |
2 (5.6%) |
6 (8.5%) |
※12017/9/30現在の出生数(妊娠継続中は除く)
※2加齢等の要因によって妊孕性が低下することを懸念する場合に行うこと(日本生殖医学会は採卵時年齢が40歳以上は推奨できない、また凍結卵子使用時の年齢が45歳以上は推奨できないとしているが、同院は現時点では年齢制限は設けていない)。
※3癌や免疫疾患等の治療によって妊孕性が損なわれることを懸念する場合に、生殖機能を温存する為に行うこと。
これまで16人に計35周期の移植を実施。計48個の胚を戻し、7周期が妊娠し、4人が出産に至っているとのこと(毎月20人ほどが凍結しているとの説明も)。
使用胚の定義がちょっとわかりませんが、融解し移植可能な胚と解釈すれば、
- 1人あたり平均2.19周期の移植を実施
- 周期あたり平均1.37個を移植
していると理解。またこちらにも採卵数や融解率は記載されていないので、個人的には移植された方の採卵数や採卵回数に対しての妊娠率や出産率がどうなのかは気になるところ。
尚、海外の凍結卵子による妊娠成績は以下の通り↓
2008年〜2013年 | |
---|---|
1周期あたりの 妊娠率 |
35.5 〜 60.8% |
卵子1個あたり 妊娠率 |
6.5 〜 12% |
卵子1個あたり 生産率 |
約9% |
ここまで提示されたデータをまとめると、
比較 | 国内 | 同院 | 海外 |
---|---|---|---|
妊娠率 | 15.7% | 20% | 6.5〜12% |
生産率 | 10.1 | 11.4% | 約9% |
となる。
おおよそ融解後の移植に限って言えば妊娠率は10〜20%位で、生産率は10%前後。
上記比較については、もちろん比較条件が完全に一致してはいないので同列には語れないが、限られた時間の説明会の中でこれらの提示データをみれば、自分だったら同院の成績は比して高いんだなぁとの印象を持つかな。
凍結卵の目標数
「卵子を何個凍結すれば良いのだろう」との質問が多い。いくつとは言えないが以下表からおおよそ目指す必要数がわかると考えている。
年齢 | 融解数毎の出産率(%) | ||||
---|---|---|---|---|---|
1個 | 10個 | 20個 | 30個 | 40個 | |
25 | 15.2 | 80.8 | 96.3 | 99.3 | 99.9 |
26 | 14.4 | 78.9 | 95.5 | 99.1 | 99.8 |
27 | 13.6 | 76.8 | 94.6 | 98.8 | 99.7 |
28 | 12.8 | 74.6 | 93.5 | 98.4 | 99.6 |
29 | 12.1 | 72.5 | 92.4 | 97.9 | 99.4 |
30 | 11.3 | 69.9 | 90.9 | 97.3 | 99.2 |
31 | 10.7 | 67.8 | 89.6 | 96.6 | 98.9 |
32 | 10.1 | 65.5 | 88.1 | 95.9 | 98.6 |
33 | 9.4 | 62.7 | 86.1 | 94.8 | 98.1 |
34 | 8.9 | 60.6 | 84.5 | 93.9 | 97.6 |
35 | 8.3 | 58 | 82.3 | 92.6 | 96.9 |
36 | 7.8 | 55.6 | 80.3 | 91.3 | 96.1 |
37 | 7.3 | 53.1 | 78 | 89.7 | 95.2 |
38 | 6.9 | 51.1 | 76.1 | 88.3 | 94.3 |
39 | 6.5 | 48.9 | 73.9 | 86.7 | 93.2 |
40 | 6 | 46.1 | 71 | 84.4 | 91.6 |
41 | 5.7 | 44.4 | 69.1 | 82.8 | 90.4 |
42 | 5.3 | 42 | 66.3 | 80.5 | 88.7 |
例えば35歳で凍結卵子を移植した場合の生産率は、1個融解で8.3%。20個融解で82.3%、30個だと92.6%、40個だと96.9%と上がり、融解できた卵の数が多ければ多いほど生産率は上がる。
この表から、例えば生産率80%を目標と設定した場合、25歳なら10個以上、26歳〜36歳なら20個以上、37歳以上なら30個以上取れないと生産率80%をクリアできないと言える。ただこれは融解された卵の数からの生産率なので、凍結率や融解率を加味すると各数値より多く見積もっておかないといけないと思われる。
採卵凍結のスケジュールと費用
↓
②卵胞を育てる(排卵誘発)
↓
③卵子を採取(採卵)
↓
④凍結保存
大まかなにはこういった流れ。
①申し込みとプラン設定
月経開始前に超音波検査を行い子宮や卵巣に異常がないか確認の上、医師とプランを立て、
- 同意書
- 麻酔問診表
- 前納金(卵子凍結1回分の概算料金)
を納め、必要な薬剤と妊娠検査薬を受け取り、月経1日目に検査薬を用いて陰性であることを確認する。陰性確認後電話にて受診予約を取り採卵凍結周期がスタート。
前納金を納めることで、都度診察での支払いは不要。採卵凍結周期終了後に差額を精算する。
卵子凍結1回分の概算料金となる前納金は排卵誘発方法(次項詳述)によって以下のように設定されている。
誘発方法 | 前納金 |
---|---|
刺激 | 35万円 |
低刺激 | 25万円 |
自然 | 19万円 |
②卵胞を育てる(排卵誘発)
卵胞育てる方法(誘発方法)は
- 刺激
- 低刺激
- 自然
の3つの周期があり、これらを端的に表せば、
投薬量:刺激 > 低刺激 > 自然
採卵数:刺激 > 低刺激 > 自然
という特徴がある。
尚、刺激周期については以下の通りいくつか種類がある。
周期 | 種類 |
---|---|
刺激周期 | HMG-MPA法 |
ショート法 | |
アンタゴニスト法 |
通常、刺激周期では卵を育てる排卵誘発(HMG等の注射)とあわせて排卵抑制を同時に行う(排卵を人為的に起こす為それまで排卵しないように、育てつつ排卵させないようにしてコントロールする)。
刺激に3種類があるのは排卵を抑制する方法が3種類あるということ。よって卵を育てる方法は一緒であり卵を育てる点に違いはない。
尚、低刺激周期は、排卵誘発が内服を主としていて(クロミッド等や一部注射もあり)、自然周期は極力内服や注射といった排卵誘発を行わない(排卵抑制で点鼻薬や注射使用することあり)。
以下各周期のスケジュール含めた詳しい内容↓
刺激周期
3日目から毎日注射を実施。自己注射も可能。もしくは遠隔対応もできるのでご自身で近くのクリニックを探して注射キットを持ち込み、費用を払えば注射してもらうこともできる。
ただし、排卵を促すトリガーの注射は採卵(朝8時頃)の35〜36時間前=2日前の20〜21時頃になる為、閉院時間帯につき必然的に自己注射となる。
低刺激周期
注射の場合は刺激と同じ流れ。トリガーも同様。
自然周期
トリガーが注射の場合は刺激と同様。
卵子を採取(採卵)
採卵は月経10〜17日目に行うことが多い。
エコーを見ながら卵巣に特殊な針を刺して卵胞液ごと吸引。顕微鏡下で卵子の有無を確認し、卵子の周りの細胞を取り除いて成熟卵かどうか確認する(極体が出ているかどうか)。成熟卵であれば凍結に進む。
採卵料金は2個までで6万円、これに加え3個目以降で10個までは1個あたり+5,000円、11個目以降は1個あたり+2,500円となる。
例えば、10個とれれば95,000円、15個取れれば107,500円となる。
また採卵を試みて取れなかった場合でも6万円がかかり、当日採卵自体そのものをキャンセルした場合も4万円がかかる→前日から培養液などの準備をしている為。
※記載の料金は全て税抜価格。
凍結保存
超急速ガラス化保存法により液体窒素で凍結保存を行う。
クライオトップという容器に卵子を入れ凍結保存する。クライオトップには3個まで卵子を入れることが可能。つまり融解する場合には〜3個単位となる。
凍結料金は以下の通り↓
卵子凍結保存料金1ヶ月あたりの金額の目安↓
HMG-MPA法で採卵10個、凍結4単位(4クライオトップ)、5年間保管した場合は税込49万円前後となる↓
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融解移植のスケジュールと費用
↓
②融解/受精/培養/移植
↓
③妊娠判定
①申し込みとプラン設定
月経開始前に申し込み、超音波検査で子宮と卵巣に異常がないか確認し、
- ホルモン補充周期
- 自然周期
のいずれかにするか医師と相談の上、プランを立てる。
移植周期でも前納金を納める。移植周期の場合は7万円。
②融解/受精/培養/移植
ほとんどの方が行うホルモン補充周期は、月経2日目からエストロゲン製剤を内服し、月経12日目に子宮内膜を確認。内膜の厚さが十分であれば融解〜顕微授精日が決まる。
受精は顕微授精一択。理由は、精子は卵丘細胞が付いていない卵子に自力で入ることができない為、卵子凍結の際に卵丘細胞を除去された凍結卵子には人為的に卵子内に精子を注入する顕微授精となる。
最低融解単位はクライオトップ(〜3個入)ごと。だいたい2日後の月経14日目に融解〜顕微授精となることが多い。受精した日からエストロゲン製剤に加え、プロゲステロン製剤も服用を開始する。
移植日は受精5日後が多い。子宮に戻す卵は原則1個。複数個受精卵ができた場合は再凍結となる。
③妊娠判定
おおよそ受精から14日目に妊娠判定を実施。
妊娠検査薬で尿中のhCGを、血液検査で血中のhCGをはかり判定する。陽性の場合、1週間後にエコーで胎嚢確認ができれば臨床妊娠となる。
説明会の後はお茶会
約1時間の説明会のあとは、お茶会があったとのこと。
複数の円卓に座ってお菓子やお茶を飲みながら、カウンセラーやコーディネーターや看護師に色々と質問をするというもの。
直接クリニックの方に質問できることで疑問をクリアにできたし、また同じように卵子凍結を考える方と情報交換ができる機会はなかなか無いので興味深かったとのこと。
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まとめ
友人からの共有された情報をまとめてみました。
友人の感想としては、実績も比較的オープンな印象で、デメリットにもしっかりと言及し、料金体系も明朗に公開されている点からクリアに卵子凍結が思い描けたと語っていました。
個人的には、移植周期からの妊娠・生産率だけでなく、移植に至る前段の年齢別の平均採卵数→平均的な凍結に進む確率→融解率→受精率→胚/胚盤胞率といったこともわかるといいなぁと思います(難しいのでしょうけど)。
夫
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