「不妊治療のことって話しにくい・・」
自分自身の経験を振り返ると、不妊治療を人に話すことはすごくハードルの高いものでした。
その理由は『知られたくない』という気持ちが一番でしたが、『話しても分からないだろうな・・分からないのなら誤解や偏見を持たれたくないな』とも感じていたんですよね。
そこでふと、
「日本以外の国では不妊治療への認識や世間の反応ってどうなんだろう?」
と感じ夫に話したところ、
じゃあ直接聞いてみよう
と、街頭で訪日外国人に直接インタビューすることにしたんです。
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渋谷で突撃インタビュー!ハチ公前を選んだ理由
インタビューの方法はいたってシンプル。
「渋谷のハチ公前にいる外国人に突撃インタビューする」です。
当初、渋谷と浅草で迷ったのですが、浅草の雷門前は狭く密集度がすごいので、ある程度広いハチ公前の方が聞かれる側も楽だよね、ということで渋谷にしました。
しかも隣接する東急はクーラーが効いているから、こまめに休憩できるのもGood!
そして、インタビューの時間帯は比較的暑さが優しい午前9時から最大2時間ほどと短時間勝負と決めてのぞみました。
今回、英語が堪能な親友も助っ人として協力してくれました☺
どんな結果になるか全く予想がつかなかったのですが、親身に答えてくれる方がいたらお礼をしたいと思い、食品サンプルキーホルダー(ダイソー)を大量に持参。
結果的に、これはかなり使えた!
予想以上に喜んでもらえました☺
SUSHIの力恐るべし・・・
質問内容について。どんなことを聞く?
質問については、端的に伝え、かつ答えやすいように
- 基本の質問は1つ
- 回答は選択式
としました。
質問は、
→What do you think about relying on a medical treatment if you can’t give a birth naturally?
とし、
以下の回答から選択して(シールを貼って)もらうという形式にしました。
・OKAY! GOOD.(いいと思う)
・I have no idea.
(わからない、考えたことがない)
・Prefer natural pregnancy.
(できれば自然がいい)
そして、気さくに答えてくれる方(特に友好的に話しをしてくれる方)には以下の2点についても踏み込んで質問。
→In your country, Is fertility treatment accepted?
あなたの国では不妊治療が保険でカバーされてる?
→In your country, Does insurance cover fertility treatment?
言わずもがな内容がセンシティブなだけに声がけの際には、
「突然お邪魔してすみません」
「突然シリアスな質問ですみません」
「私たち不妊治療について調べています」
などなど、笑顔でハキハキと目的を明確にして、怪しまれないように丁寧に聞きましたよ!
途中、ボードを持ってウロチョロする私たちに周りの外国人も興味を持ってくれたらしく、逆に声をかけられることもありました。
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突撃インタビューの結果は?
結果的に、18カ国57人の方から話を聞くことが出来ました!
アメリカ&カナダ
ドイツ
ウルグアイ
トルコ
タイ
ベルギー
この他、
- フィリピン
- オーストラリア
- イギリス
- インドネシア
- スペイン
- フランス
- イタリア
- オランダ
- ロシア
- カメルーン
- オーストリア
年代は20代から60代、男女関係なく幅広い層にアプローチしました。
インタビューの様子【動画】と結果
以下、全てではないですが動画としてまとめましたので、良かったらご覧ください。
また動画にはありませんが、その他
ドイツ&オランダ
→不妊治療は普通のこと。周りにもたくさんいるし話しやすい雰囲気だと思うよ。トルコ
→すごくオープン。ある程度保険でカバーされているよ。それだけの病院もたくさんある。カメルーン
→キリスト教徒の国だからナチュラルを信じてる。だんだんと認知されてきてはいるけどね。
等、様々な話を聞くことができました。
(カメルーンの方に話を聞けるなんて!)
皆さん割とすぐ私たちの質問の意図を汲み取ってくれ、自らの言葉でお話ししてくれたのが本当に印象的でした。
滑り出しは3つの中で「分からない」の答えが先行し、そのシールの数からみんなそっちに引っ張られるのかなぁとも思いましたがやはり外国の方は自分の意見をしっかりと持っていて、杞憂に終わりました。
インタビューの結果は、
良いと思う | 37人(65%) |
---|---|
分からない | 8人(14%) |
できれば自然がいい | 12人(21%) |
となりました。
この最初の質問は、話のきっかけとなればと思い作ったものでここから何かを読み取ろうとしている訳ではないのですが、話したイメージとしてはほとんどの方が不妊治療に対して寛容で偏見などもないように感じました。
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インタビューで印象に残ったこと
インタビューの中で印象的だった方や話を紹介します。
IVF経験者オーストリアの4児の母
途中、体外受精で4人のお子さんを授かったというオーストラリアの女性が出てきますが、この方は私たちが持っているボードを見て自ら話しかけてきてくれました。
日本の体外受精成功率が高いという情報を雑誌で読んだそうで、興味を持ってくれたみたい。
まさかこの突撃インタビューでIVF経験者に出会えると思っていなかったので本当に感動しました😭
彼女は2年間自然妊娠にトライしましたが、結果が出ず医療に頼ろうとIVFに挑戦したそうです。
宗教的観点による意見
明確に否定はされませんでしたが、特にカトリック教徒の多い地域では、不妊治療については肯定的ではない傾向が高いように感じました。どちらかというと不妊治療よりも「中絶」についての議論が活発?
アメリカの中でも保守的だと言われるテキサスの方も、中絶について言及していましたね。
「養子」という選択肢も一般的
ベルギーでは体外受精(IVF)をするか、もしくは養子を迎えるかという選択肢が特別ではなく一般的だとのこと。
事実、右側の男性の姪っ子は韓国から養子として迎え入れたそう。
養子を迎え入れるまでには日本同様高いハードルがあるようですが、こちらから聞かずとも「養子」というワードが出てきたことが印象的でしたね。
体外受精で生まれた友人の話
彼らと一緒に旅行している友人(まだホテルで寝ている)は体外受精で生まれているとのこと。このことについて「特別なことじゃないよ」と話す彼らから、20歳らしい若者のオープンさを感じました。
オープンに話す風土があるイギリス
そして最後に登場するイギリス人カップル。
彼らの明るくはっきりとした意見から、彼らの言う通りイギリスでは割とオープンに話す風土があるんだろうなと感じました。
欧米はやはり肯定的?
たった数十人のインタビューでその国の考えや傾向を決めてしまうのはもちろん危険ですが、イメージとしてやはりヨーロッパ(イギリス、ベルギー、トルコ、スペイン、オランダ、オーストリア)の国々の方の意見は一様にポジティブに感じ、またはっきりしているなと感じました。
体外受精や顕微授精はヨーロッパが最初だということを考えれば、結果として比較的オープンな風土が形成されたということなのかな。
ARTの 歴史 |
海外 | 日本 |
---|---|---|
体外受精 | 1978年 (イギリス) |
1983年 |
顕微授精 | 1992年 (ベルギー) |
1994年 |
そうそう、それからウルグアイのカップル!
南米の国の方からもこんなにポジティブな意見が聞けるとは!ウルグアイはかなりオープンなのかな。
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反省点
いくつか反省点もあります。
話の流れで保険適用の状況について質問してみましたが、やはりこれは難しい質問でした。
当事者ではない方(関心のない方)が「保険適用されてるか知ってる?」なんて言われても答えに詰まってしまいますよね💦 反省。
次に、出来れば
何才位から治療を始めるのが一般的か?
を、オーストラリアのIVFママなど聞ける方には質問したらよかったなと。
日本は世界に比べて治療開始年齢が遅いと言われています。
その辺の感覚や捉え方について聞いてみればよかったなと反省。
そして
もっとアジア圏の方に話を伺いたかった
物理的にも近い韓国や中国の方の意見も聞いてみたかったのですが、意外と出会えなかったんですよね。
考えるひとつのきっかけに
今回、正直インタビューの目的がしっかり定まっているわけではありませんでした。
したがって、このインタビューに「結論」があるわけではありません。私たちは結論が欲しかったのではなく、いろいろな国や人の考え方を「実感」として感じてみたかったんです。
もちろん、できれば否定的な意見よりもポジティブな意見が多ければなという気持ちは少なからずありましたが、
価値観は多種多様。
不妊治療に肯定的な方や国もあれば、
- 富裕層だけのもの
- オープンじゃない
- 隠したい人もいる
- そもそも不妊治療について考えたことがない
といった答えだってすごくリアルだなと感じたんですよね。
こういった様々な方の声が日本の不妊治療の現状について考えたり、視座を変える小さいな良いきっかけになればと思います。
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終わりに
今回およそ25〜30組のグループに声をかけましたが、断られたのは「待ち合わせがあるから」と急いでいるカップル1組だけでした。
その他の方は唐突な質問にも関わらず、本当に真摯に聞いてくれて、そして積極的に話してくれて。ビデオ・写真のアップもほぼ全員が承諾してくれるし!
今回そういった外国人のハッキリとした主張に一番感動したかもしれません(笑)
「自分の意見をしっかり持つ・話せること」って改めて素敵なことですね。
そして何よりネットの記事では得られない「生の声」はとても興味深いものでしたし、視野を広げてくれる話ばかりでした。
次は浅草かな!?
本当はもっとゆっくりじっくり聞ける場があるとより参考になるんですけどね。
最後までお読み頂きありがとうございました😊
妻
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自分たちのみばっちり顔を隠してありますが、載せている人には全員に自分たちは顔を隠すがあなたたちだけ回答内容と共に顔を出してブログに載せてよいかという許可を得ていますか?
ご指摘いただきありがとうございます。
今回、一般的な街頭調査というスタイルをとって撮影させていただきました。
おっしゃる通り「自分たちは顔を隠して」という点は聞いておりませんが、撮影前に事前に目的を告げ、許可を得て撮影〜アップロードさせて頂きました。
ご指摘の中に、顔出ししていない点が「フェアではない」という意味合いも含まれているのであれば、それは意見を集めることの必須条件ではないと思っています。
しかしながら仰りたい真意も痛いほどわかるのも事実です。嫌悪感や不快感を抱かせてしまっていたら本当に申し訳ございません。今後、そういった配慮をさらにしっかりと持ちながら発信をしていきたいと思います。
ご指摘頂きありがとうございました。