先月、東京海上日動火災保険が損保業界としては初となる不妊治療保険を発売した。
すでにご存知の方も多いと思うが、シェアしたい。
スポンサードサーチ
目次
どんな保険なのか?契約対象や仕組みについて

契約主体は?
この保険は一般の人が加入する保険と違い、契約主体は、
・企業
・健康保険組合
など。さらに詳しく言うと、
「福利厚生の一環として不妊治療の助成制度を設けている場合の費用を補償する」
というもの。福利厚生として不妊治療への助成制度を設けている企業や健康保険組合が対象となる。
補償内容は?
詳しい(具体的な金額など)補償内容は、東京海上日動火災保険から出てはいないが、11月1日の日経によると、
対象者は
・従業員本人(男女)
・従業員の配偶者
補償額は
・1人あたり年200万円を上限としてもらえる
・国の助成制度利用の場合はその分を差し引いた額をもらえる
・切迫流産などで30日以上の長期入院をした場合、一時金として100万円をもらえる
保険金は1人あたり年200万円が上限で、実際にかかった費用が原則支払われる。国の助成制度を使った場合は補助額分が差し引かれる。従業員の自己負担額は最大で10万円。このほか切迫早産などで30日以上の長期入院をした場合にも一時金として100万円を支払う。
※11月1日の日経新聞記事より抜粋
ようだ。
結構手厚い補償だと思う。
ただ、この記事にある「従業員の自己負担額は最大で10万円」←この部分がよくわからん(誰かこれの解釈わかれば教えて欲しい)。
福利厚生の一環として導入する企業はどれほどあるのか?
これって、企業が導入するしないを決めるわけだから、個人(従業員)が入りたいと思って入れるものではない。
現状、不妊治療に対して独自に助成制度を設けている企業はまだまだ少ないとも言われているし、実際に導入しているのはまだまだ大企業の一部に限られているんだろう。
中小企業が始めるよりも、まずは大企業がこういった取り組みを始めると浸透速度はまだ早いとも思うので、大いに期待したいものだ。
また、こういった不妊治療を助成する福利厚生導入についてへの意見をネットで調べると、
大企業が不妊治療への助成制度を導入
↓
その分コスト増
↓
下請けへの取引条件が厳しくなる
というような意見を一部目にした。
コストは下がることはないという意味で途中まで合っていると思うけど。そのコスト増加分を取引先に丸々転嫁するかと言われると必ずしもそうではないと思う。
では、この保険のコストってどれくらいんなんかな?日経の記事では以下の様に書かれている。
企業が支払う保険料は従業員1人あたり年4,000~8,000円。
年間コストとしてはかなり安い様に感じるのは自分だけ? だって月に直したら333〜666円/人だよ。
まぁこれは、全従業員が加入が条件。つまりスケールメリットが出るから安いんだと容易に想像がつく。
じゃあ仮に世界のトヨタにこれを当てはめるとどうなるんだろう。
まずトヨタの全世界の従業員数は35万人弱(連結ベース)。これに保険料をかけると14〜28億円くらいになる計算。
で、トヨタの2016/3期の決算。最終の純利益は、2兆3,000億円・・・
これから考えたら14〜28億円なんて出せない額じゃないと思う(日本国内に限れば35万人よりもっと少ない人数なはずだから、もっとコストは低くなるはず)。
あくまで、数字だけ見たらこの保険料ってそれほど高いものではないんじゃないかと思うんだよね。
100人の会社だったとして、年間会社としてかかるコストは40〜80万円くらいだし(最初からこっちの例えの方がわかりやすかったなw)。
スポンサードサーチ
ただ不妊治療に縁遠い人(同僚)がどう思うか?
と、思いっきり不妊治療者側目線で「安い」とか言っているが、そもそも従業員の大半は不妊治療に関係ない人たちなわけで、そんな人(同僚)たちからすると、
「いらないコストじゃね?」
ってなるだろう。「なんで俺らがそんなの負担しなきゃなんないの?」って。
まぁ、わからんでもない。そっちに回す金があるんだったら別のことや給与に還元してくれよって思う人も少なからずいるはずだろう。
正直、こういった意見に対しては何も言えない。素直に「なんかゴメンなさい」というしかない。
でも、この問題って従業員レベルの目線で考え出したらキリがない様な気がするんだよね。
やっぱり導入することを決断する経営者の考えが重要だと。
人件費をコストと見るか、「投資」とみるか?
はい、いつも通りだんだんと脱線してきましたよ。
おそらく、不妊治療への助成制度を「コスト」としてまだまだ見ているから、導入会社は少ないんだと思う(調べたわけではないから少ないとは断言できないが、新聞紙上をみる限りまだまだ少ないと思われる)。
従業員への助成って、突き詰めると人件費。人件費=コストって見ているんだよね(当たり前ではあるが)。
またもや引用になってしまうが今日の日経に、日本郵船がコストの高い日本人の採用を増やしているというニュースがあった。
これまで、コスト削減で外人船員を大量に雇ってきたが、技術継承が難しくなってきている現状を憂慮し、給与は2倍になるが日本人を積極的に採用しているというニュース。
要は日本郵船は、
人件費削減による目先の効果より、人への先行投資で将来の収益確保を狙っている。
と言える。
つまり、従業員=人材こそが成長の原資であり、人材がより働きやすい環境を整えることが最終的に会社の利益につながると見ているのだ。
まさに負担は増えても働きやすい環境を整えるほうが稼げると見ている証だろう。
もうこの考えを勝手に解釈しちゃう。良いように翻訳しちゃう。
だ、か、ら、
世の経営者さん方、ぜひこういった不妊治療の福利厚生を積極的に導入してほしい。政府も働き改革を積極推進しているんだし、導入してほしい。
人を雇うことをコストではなく、投資としてその人を働きやすくすることで生産性向上につながり、利益の最大化につながるという論理を少なからず導入していこうよ。
しかも、売り手市場の今、こういった助成制度を導入しているって結構アピールポイントになると思うんだけどなぁ。
と、好き勝手に言ってみる。経営者さん方の厳しい現状もわかる。うん、難しいのは重々わかる。もうここは、国益、国家観、人類皆兄弟、的な大きなくくりで英断してほしい(笑)。
話は戻るけど、不妊に悩むカップルは6組に1組って統計があるけど、仮にトヨタ35万人に当てはめると、約17%(もちろん全従業員が結婚しているわけではないけど)。
結構いるな(もちろん国内に限ればもっと少なくなるだろうが)。でもそれだけ社会的な貢献ってすごいインパクトだとおもうんだよね。
スポンサードサーチ
では導入したら活用されるのか?
うちの会社での自分の部署から半径10m以内の部署内に、不妊治療者3人くらいいるんだから、この福利厚生を導入したら有難いって思う人は結構リアルにいると確信する一方、
逆にこの制度を利用することで社内に不妊に悩んでいるってことがバレるのを恐れるって人もいるのかもしれないとも思う。
そういう事実があるってことや、懸念について調べたわけじゃないけど、ふと思った。
知られて良い気がする人はいないよね。人事総務部署などならこういった情報へ容易にアクセスできるだろうから、絶対知られないとも言い切れないと思う。しかも、
人って、他人の不幸話好きやん?
総務のおしゃべりおばちゃんに知られたら、完全に酒のつまみにされるわな。かわいそうと口で言いながら、酒は進むだろう。
人の不幸は蜜の味っていうからね。拡散確実間違いない。
こんな鈍感な自分でさえ、そんな不安がよぎったんだから、やっぱりこのあたり(情報管理)は気になる所だと思う。
もう人事総務部署のボスは「不妊治療経験者のみ」とかにするほかないかっ!(笑)
で、何が言いたいかって言うと
せっかくこういう保険ができたんだから、どんどん導入してほしい。それだけ。
徐々に世の流れが「一億層活躍社会」「働き方改革」となってきている今、まさにここら辺に力入れてほしい。
もちろん、不妊治療以外にも必要な助成ってあると思うけど、今俺らは不妊治療で悩んでる身として、ぜひやってほしいと思う。
不妊治療の経験がない人からすれば、
「甘い」
「くれくればっかかよ」
「すぐ国とか企業に頼るんじゃないよ」
とか言われそう。
でも、どっかの芸人の親のように生活保護を不正に受給したいなんて思っているわけではない。
健全にできる限りの努力はする。
けど、やっぱり多少の助けがその先にあるって安心感があるのとそうでないとでは、不妊治療へ取り組むスタミナや精神的な影響って全然違うと思う。
努力と並行して、そういった不妊治療者にもっと優しい社会になってほしいと願う。
と、かなり散らかったが、今回のこの保険のニュースを見てそう感じた。
みなさんはどう思います?

夫

最新記事 by 夫 (全て見る)
- 「体外受精にのぞむ女性のこころの動きに関する追跡研究」にご協力をお願いします。 - 2019年10月8日
- 卵巣年齢チェックキット「エフチェック」を購入。採血してみた - 2019年8月21日
- 【寄稿記事】妊娠ファーストでパートナー選びを焦りたくない私のオーク銀座での卵子凍結レポ。仕事に趣味に全力で打ち込みたい! - 2019年7月3日
コメントを残す