凍結受精卵を無断移植した妻を夫が提訴というニュースに感じたこと。法律の整備が急務だと思う

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本日、【奈良の病院  夫に無断で受精卵移植 別居の妻出産】というニュースを目にした。

内容としては、

別居中に妻が以前に凍結しておいた受精卵を夫の承諾を得ずに無断で移植し、妊娠出産。これに夫が猛反発。妻と同意確認を怠ったクリニックを相手取り、奈良地裁に損害賠償2千万円を求め提訴した。あわせて奈良家裁にも親子関係を認めないと訴訟を起こした。

といった異例のニュース(ちなみに夫は外国人らしい)。

そもそも、民法では同意がない移植による出産を想定していない

よって、「血縁関係があるからといって、親子関係は認められない」と夫は提訴している(親子でなければ養育の義務もないと)。

そして勝手に移植したことについて妻&クリニック側に賠償しろと求めているのだ。

 

一方、妻側は非を認めつつも「血縁関係と親子関係はイコールだ」として徹底抗戦の構え。

 

う〜ん、泥沼やな。

このニュースをみて感じたことを書いてみたい。

 

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詳しい内容について

経緯について以下に簡単にまとめてみた。

2004年に結婚

2010年に不妊治療を開始。受精卵を複数凍結の上、移植を実施し妊娠。

2011年に第一子(男児)を出産。

2013年秋頃から夫婦仲が悪化し別居。

2014年春以降、妻は凍結していた複数の受精卵を夫に無断で移植し妊娠。夫に伝える。

2015年4月に第二子(女児)を出産。

現在、夫婦ともに45歳。

 

無断で移植した点は確かに驚きしかないが、個人的に驚いたのは現在この妻は45歳なので、出産時は43〜44歳だったということ。

第一子も39〜40歳前後で授かっている計算になる。

これって、不妊治療をしている身からすると、かなり凄いことだと感じるわ。

卵子の数は決まってるとか老化するとか知らなかった。男も最低限妊活の勉強すべき

2016.10.11

 

誰が悪いのか?

悪いのは間違いなく妻であり、そして確認を怠ったクリニックであることは言うまでもない。

妻も「夫の承諾を得ていない」と認めていて、クリニック側も「同意書の確認を省いた」と認めている。

よって、夫から2者は責められて当然だと思う。

ところでこういったケースについての法律ってないのかね?

この記事の中で以下のような記述があった。

体外受精について定めた法律はないが、日本産科婦人科学会は体外受精を医療行為として扱い、不妊治療を実施する医療機関に対し、移植ごとに十分な説明をしたうえで、夫婦の同意を得るよう「見解」を示している。

法律はなく、日本産科婦人科学会が示す倫理についての見解が指針となっているようだ。

では、この日本産科婦人科学会の見解とはどのようなものなのか、同学会のHPを見てみよう。

 

日本産科婦人科学会の倫理に関する見解

同学会HP内の「倫理に関する見解」の中にある「体外受精・胚移植に関する見解」をみると、

 

日本産科婦人科学会、見解

 

と明記されている。

ここで注目すべきは、赤枠内の「同意文書を保管する」という部分。

これは、同意文書を取りつけ、保管はしているものの、都度施術ごとに同意書を更新するとは書かれていない。

1人目の施術の際に取りつけた夫婦の同意書が、今回もそのままいかされたということなんだろう。

2人目の移植を行う時点では、夫婦は形式上「婚姻関係」にあり、妻がクリニック側に強く要望すれば、クリニック側としても、

 

一人目の実績もあるし、婚姻関係が破棄されているという証明もないわけだし、同意しているかどうかあまり深く詮索するのもプライバシーの侵害なんて言われても嫌だし、まぁ問題ないだろう

 

って感じでしっかりと夫婦の同意を確認せず、おこなってしまったのかもしれない。

今回クリニック側は、同意書の確認を省いたわけだが、もし仮に同意書の提出を求めたとしても、妻が夫の筆跡をまねて、夫の名前を記入&捺印して提出しても、見破れなかったかもしれない(病院もそもそも理由なく疑うこともないだろうし)。

同意書だけでなく移植時は同席を義務付けたりしていれば、こんなことも起きなかっただろう(病院によっては同席を義務付けている場合もあるみたい)。

 

事実、違うニュース記事では、

院長の代理人弁護士は取材に応じ、「男性の同意を得ていると思って施術したが、慎重に確認すべきだった」

とクリニック側は弁明している。

 

ちなみに今回の件について、元日産婦理事長の吉村泰典・慶応大名誉教授は、

「受精卵は夫婦のもので、使用には双方の同意が不可欠だ。今回のケースが事実ならば、院長の行為は内規違反でお粗末だ」

と語っている。

教授は「使用には双方の同意が不可欠」と言っている。この使用というのは受精卵移植を指すと思われるが、先ほどの日本産科婦人科学会の見解では「同意書を保管」という表現にとどまっており、都度同意書を取らなくても良いとも解釈出来る

 

う〜ん、難しい。

 

さらに、その他の見解を見ていると、以下の「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解」に気になる記述があった。

 

日本産科婦人科学会、見解

 

太い赤枠部分を見て欲しい。

こちらは「施術ごとに同意を取得し同意文書を保管する」と書かれている。

おそらく教授はこの部分を指しているんだろう。確かにこの見解では「施術ごとに同意書を取り付ける」としているので、まさにクリニック側はこの経るべき手順を怠ったと言える。

 

でもちょっと待って欲しい。

 

ポコキンの読解力がとぼしいのかもしれないが、この見解をよ〜く見てみると(細い赤枠部分)、

 

「施術ごとに被実施者夫婦または女性の同意を取得し」

 

と書かれている。

または」とは

A・B・…の少なくとも一つの意(全部でも可)
A・B・…のどれか一つだけの意。

 

つまり、

夫婦の同意が無くても、女性の同意があれば実行できてしまうということではないだろうか??

 

あれ?

どゆこと??

 

もしかして、解釈次第では見解内に収まるのかもしれない。

そしてこの解釈を論拠として、妻は徹底抗戦の構えを見せているのかもしれない。

 

う〜〜ん。ますます難しい。

 

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妻が無断で受精卵を移植した背景や気持ちって?

どんな背景や理由があれ、今回の妻の行為とクリニック側の不手際は許されるものではない。2ちゃんねるやヤフコメには妻とクリニックを非難する声が多数寄せられている。

この一連の行為自体は、間違いなく非難されてしかるべきだとポコキンも思う。

ただ、これ以上法律家でもないポコキンがとやかく言ってもラチが開かないので、なんで妻は無断で移植しちゃったんだろう?って考えてみたい。

 

↓↓↓ここからはあくまで勝手な推測↓↓↓

まず、ポコキンがちょっと疑問に感じたのは、2004年に結婚して不妊治療を開始するまでに6〜7年も要しているという点。

結婚した年齢は32〜33歳前後でポコキン夫妻くらいの年齢。遅いとまでは言わないけど、7年近くも不妊治療に移行しなかったのには何かわけがあったんじゃないかな。

たとえば、妻は早く子供が欲しいけど、夫はそれほど欲しいと思っていなかったとか。

このあたりで若干夫婦関係がギクシャクしていたのかもしれない。

 

そして、40歳前後で念願の第一子を授かった際に、「一人で十分。これで打ち止め」とする夫と、もう一人欲しいと願う妻の間で決定的に価値観がずれたことで関係が悪化し別居につながったのかも。

ただ妻は別居中だけれども、婚姻関係は解消していない現状を好機と捉え、無断移植を断行するに至ったということではないだろうか。

移植を断行した妻の気持ちとしては、

 

・兄弟を授けてあげたかった

・40代という生殖年齢ギリギリの今、ダメもとでチャレンジしてみたかった

というものではなかろうか。

批判の中には、

 

「夫が資産家で離婚する前に子供を産んで養育費をもらおうとする魂胆みえみえ」

「ハーフの子供をたくさん欲しかった」

 

といった趣旨の意見もみられた。

まぁ真相はわからんが、もしかすると妻が夫から一方的に捨てられたとかで、妻は夫の子供が欲しいっていう状態だったのかもしれないし、このニュースだけではなんとも言えませんな。

 

まぁ言えることは、どっちにしても妻とクリニックが悪いという事実は変わらんし、一番の被害者は夫ではなく、生まれてきた子供。

 

どんな理由があったにせよ、子供がいつかこういった一連のことを知った時、どう思うだろうか?

不妊治療をしている我々からすると、この妻の「子供が欲しい」という気持ちも理解でないこともないが、それ以上に生まれくる子供の気持ちを考えない身勝手な行為だと思うのだ。

 

今後の対策は?

で、重要なのはこういった悲劇が再発しないこと。

見解とか、規定とかじゃなくて、しっかりと法整備をすべきだと思う

こんな騒動、夫がかわいそうとか言う以前に、何の罪もない子供たちが不憫でならない

 

また、受精卵はそもそも、両配偶子の由来する夫婦に帰属するもの。

この部分の意識をクリニック側はしっかりと持つべきで、生命を生み出す神の領域に従事する以上、確実なチェック体制を構築すべきだ。

夫婦間のプライバシーに過度に配慮したりする気持ちも分からんでもないが、そこは「しっかりと」「淡々と」「ドライに」「形式的に」でもクリアにするべきで、そこまで含めての不妊治療だと思う。

なんか、すごい後味悪いニュースだったので、自分なりの意見を書いてみた。

 

みなさんはどう思われますか?

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夫

約4年半にわたる不妊治療の記録を綴っています。体験したからこそ感じた不妊治療を取り巻く「内」と「外」の課題。顕在化しづらいこの課題の軽減・解決、そのギャップを埋めるべく夫婦で取り組んでいます。オフラインでの交流の場の創出や、オンラインでの真に求められるサービスを開発中。「不妊治療を身近な選択肢に」が当たり前の世界にしていきます。
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