先日受診したFMC東京クリニックで結果説明を受けた際、
卵子の老化とは、年齢を重ねるごとに染色体を適正に分配できない頻度(確率)が上がることなのかなとも感じました。
と書きましたが、この点について気になったので深掘りしてみます。
結論からいうと、やはり
加齢とともに卵子の染色体分配能力は低下するようです。
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染色体と受精の仕組み
胎児は、卵子と精子が各組1本づつ計23本づつを持ち寄り、46本になることで形成されていきます。
46本にならなければ胎児の設計図がうまく作れず、流産となってしまいます。この初期の流産は非常に頻繁に起きているのだとか(トリソミーの話はここでは省きます)。
なぜ46本にならないことが多く起きるのか?
突き詰めると、そもそも卵子や精子への染色体の分配がうまくいかないことが原因の様です。
卵子は染色体を捨てている?
では、なぜ分配がうまくいかないのか?
冒頭にも書いた通り、まさにその理由こそが「卵子の老化」と言われるものではないかと思うわけです。
そして調べてみると、この分配について書かれた、分かりやすいレポートを見つけました。
卵巣の中に眠っている卵子は、23種類2本ずつの染色体(46本)を持っています。
赤ちゃんを作るための染色体は23種類1本ずつ23本あればいいわけで、つまり、卵子は赤ちゃんを作るために不要な染色体を”捨てる”訳です。
いつ”捨てて”いるのでしょうか?
卵子は最初から23対計46本を持っているそうです。てっきり元から計23本の染色体しかないのだとばかり思っていましたが、そうではないようです。
そして驚きなのが、受精する為に46本から23本を捨てているということ。
0→23本になるんじゃなくて、46→23本に減らしてるんですね。分配という言葉から「配られる=足される」イメージでいましたが違うみたいです。
(おそらく、これは分かりやすい言い回しにしているだけで、厳密には卵母細胞(46本)から減数分裂によって染色体数を減らして卵子(23本)になるということなんでしょう)
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染色体を捨てる段階は2つ
ではいつ捨てているかというと、
- 第一段階:LHサージ
- 第二段階:精子が入って来た時
の2段階。
てっきりもっと前に捨てて23本を持って待機しているのかなと思いましたが、排卵&受精直前に捨てているとは少し意外です。
と不思議に思ったら、
LHサー ジとは、その卵子を排卵させる命令ですから、すなわち、排卵直前 にようやく染色体を減らす動作を始めるわけです。
ここがポイントです。
とまさにその疑問こそがポイントと書かれています。
このタイミングで
「不要な染色体をうまく捨てられるかどうか」
必要なものを残して、不要なものを捨てることが出来るかが鍵だそうです。
染色体がうまく分配できない原因とは?
この不要な染色体のみを捨てる能力は、その卵子が卵巣内にとどまっていた時間に伴って低下するとのこと。
胎児の頃をピークに増えることのない卵子の年齢は、自身の年齢と同じです。つまり、染色体の分配能力は加齢とともに下がっていくということになります。
これこそが「卵子の老化」の本質なのかな。
卵の質 = 染色体の分配能力
と言えるのではないでしょうか。
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なぜ加齢とともに染色体の分配能力が低下するのか?
実は調べるとこの原因は解明されていました。
理化学研究所の論文にまさにそのメカニズムが書かれています。
染色体数異常の多くは卵母細胞の減数分裂の第一段階(減数第一分裂)での染色体分配の誤りが原因です。この誤りの頻度は母体年齢とともに上昇することが知られており、最近の研究で二価染色体の維持に必要な染色体接着因子「コヒーシン」が加齢とともに染色体上から減少することが明らかになり、染色体分配の誤りが起きやすくなるという仮説が提案されています。
※理化学研究所「加齢による卵子の染色体数異常の原因を特定」
加齢によって染色体分配がうまくいかなくなるというこの仮説を立証したようです。
そのメカニズムは、
若い卵母細胞では、二価染色体の構造が染色体分配の前まで維持されることで、正常な染色体分配が達成される。老化した卵母細胞では、二価染色体が微小管に反対方向に引っ張られると、一価染色体に早期分離してしまう。一価染色体は微小管に反対方向に引っ張られるため、誤った染色体分配パターンである姉妹染色分体の分配に至りやすい。
※理化学研究所「加齢による卵子の染色体数異常の原因を特定」
要は、
加齢により卵母細胞の染色体をひっつけている接着剤が減る
______↓
染色体が二つに分かれるのが早くなる
______↓
分かれた後にさらに分かれてしまう
______↓
分離によりそれらが適正に卵子に分配されづらくなる
ということだと理解しました。

まとめ
「卵子の老化」とか「卵子の質」なんて言葉を聞いてはいたものの、それが具体的に何を指すのかいまいちよくわかっていなかったのですが、染色体の検査を受けたことでなんとなくイメージができましたし、卵子の染色体分配ミスの原因もわかって腑に落ちました。
ただ個人的には、卵子の質がイコール染色体の良し悪しではなく、研究結果にも書かれている通り、染色体を結びつける「コヒーシン」という物質の減少のことを指すということだと思います。染色体(の中身)自体が悪いということじゃないと。
(コヒーシンの減少を食い止める、または増やせれば質の低下は防げるということなのだろうか?)
いずれにしても、生涯一度しか作られない卵子と年齢は、強い相関関係にあると再認識しました。

夫

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