着床前スクリーニングで妊娠率向上と流産予防を期待。命の選別という倫理観

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夫:ポコキン

夫:ポコキン

夫婦で不妊治療を行っています。夫の目線から、不妊治療を行う上で得た知識や感じたことなどをシェアしていきます。あまり辛気臭くなるのは嫌なので出来るだけ明るく、不妊治療以外のことも書いていくつもりです。めざせ!Awesome Life!!!

 

体外受精へのステップアップがじょじょに現実味を帯びてきました。

大きな費用がかかるだけに出来るだけ少ない回数で授かるべく、現在クリニックの再考含め、健康面の調整(夫ができることは適度なトレーニングをすることで妊活に貢献できると信じている)をいよいよ加速させています。

そして、体外受精のことなどを調べていると「着床前スクリーニング」というものを知りました。

まだ臨床研究に入ったばかりのようですが、個人的に気になったのでまとめてみたいと思います。

 

着床前スクリーニングとは?目的は?

調べると2月15日の日経にこんな記事がありました。

日本産科婦人科学会(日産婦)は14日、不妊治療の体外受精でつくった受精卵の染色体を調べ、異常がないものを子宮に戻す「着床前スクリーニング」検査の臨床研究を、名古屋市立大学など6施設で始めたと発表した。

スクリーニング(screening)とは、

ふるいにかける  = 選別する

という意味。

 

この着床前スクリーニングの具体的な内容はというと、

体外受精した受精卵を培養皿で育て、胚盤胞の段階で一部の細胞を取り出して染色体の過不足(数)を調べ、正常な受精卵だけを母胎に戻す

というもの。正常な受精卵だけを戻すとはつまり、正常でない受精卵は排除するということ。

 

この着床前スクリーニングの目的は、

⬛︎妊娠率の向上

⬛︎流産の予防

主にこの2点に期待して、この度臨床研究を始めるみたいです。

正常な受精卵であれば妊娠の確率は相対的に上がり流産の可能性も低くなることは、詳しい仕組みがわからぬ素人の自分でも納得です。

 

そして、以下条件の方を対象にスクリーニングせずに戻した場合と出産の確率などを比べる様です。

体外受精で3回以上妊娠しなかった女性50人

原因不明の流産を2回以上経験した習慣流産の女性50人

いずれも35~42歳の方が対象。上段は妊娠率向上、下段は流産予防を念頭に対象としているのでしょう。

ちなみに習慣流産とは妊娠したものの、続けて3回以上の流産を繰り返すことを指します。

 

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着床前診断や出生前診断(羊水検査など)との違いって何?

この着床前スクリーニングと着床前診断や出生前診断とは何が違うのでしょうか?

簡単にまとめると、こんな感じです。

着床前スクリーニング 着床前診断 出生前診断
手法 受精卵から細胞を取り出し、全ての染色体の数を調べる 受精卵から細胞を取り出し、特定の染色体や遺伝子の異常を検査 出産前の胎児の状態を診断。エコーや新型出生前診断、羊水検査など
目的 妊娠率向上、流産を減らせる可能性を期待 特定の重い遺伝病や習慣流産の予防 ダウン症などの染色体異常を調べる
検査時期 受精卵を検査。つまり妊娠前(着床前)に行う。 妊娠後に行う検査。

出生前診断のみ「妊娠」した後の診断で、生まれてくる胎児に異常があるか無いかを調べる検査。

出生前診断の検査方法は、

  1. エコー(超音波)検査
  2. 新型出生前診断
  3. 羊水検査

の3種類があります。

それぞれの検査をまとめるとこんな感じ。

エコー検査 新型出生前診断 羊水検査
手法 超音波診断装置で視認 採血を行い、血液中に含まれている胎児のDNAの断片を解析 おなかに針を刺して子宮の中の羊水を採取
目的 形質異常を調べる ダウン症など3種類の染色体異常の有無を推定 羊水中に含まれる物質や胎児の細胞をもとに、染色体や遺伝子の異常を調べる

 

エコー検査とは

エコー検査は、ほぼ全ての妊婦が受けるのでわざわざ検査というまでもないでしょう。視覚的に確認をする検査です。

 

新型出生前診断とは

採血によって診断を行います。妊娠10〜18週頃に受診が可能で、その精度は99%と非常に高い確率で胎児の先天的異常を見つけることができます。

この先天的異常とは、

13トリソミーパトウ症候群
18トリソミーエドワーズ症候群
21トリソミーダウン症

などを指します。

この検査の受診条件は、以下のいずれかに該当する場合にのみ受診可能。

  • 妊婦が35歳以上(出産予定日時点)
  • 夫婦に染色体異常が認められる場合
  • 過去に13・18・21トリソミーを患った胎児を妊娠または出産したことがある場合

【参考】※30代の高齢出産体験記|先輩ママの体験から高齢出産に備える

保険適用外の自由診療で、費用は20万円前後。検査後2週間ほどで結果が判明します。

検査結果が陽性の場合は、羊水検査を行います。

 

羊水検査とは

長い針を子宮に刺して羊水を吸引します。羊水を調べることで胎児の先天的異常を判断する検査です。

妊娠16週以降に行われます。この検査の精度は100%と確定的診断が可能です。

デメリットとしては、わずかに破水のリスクがあるという点。流産率が上がるとの情報もありますが、現在はそれほど心配することはないようです。

費用は6万円前後。確定的な診断だけに陽性となった場合には9割の妊婦が人工中絶を選択しています。

 

 

「命の選別」という倫理的議論について思うこと

もともとこの臨床研究は2年前の2015年に決定していました。

実行に移すのに2年もかかったのは、この行為が倫理的問題をはらんでいる、つまりこの行為が 命の選別 にあたると考える有識者も多くいるからでしょう。

たとえば、東京大学の神里彩子特任准教授は(日経の記事内で)、

 

導入の前に検査の効果を検証しようという姿勢は科学的には意義がある。だが、命の芽を最初に摘める手法だけに導入には社会的な議論が必要

 

と一定の理解は示しながらも、果たしてその領域に踏み込むべきかどうかについては、もう少し慎重な議論が必要としています。

確かに言わんとしていることは分かります。命の選別につながる可能性も分かります。

 

ところで命とはどこからを指すのか?生命の定義って何?

この定義は非常に難しいですね。生物学上、哲学上、宗教上によって、

  • 代謝&自己複製を行えれば
  • 脳ができた時
  • 鼓動打ち始めた時
  • 子宮から出た時
  • 精子や卵子の段階から

と命の定義は様々。いまだ統一的な定義はないように思えます。

であれば、受精卵を生命と定義できるかは見方次第であるとも言えるのではないでしょうか(もちろん受精卵というものを軽視しているという訳ではありません)。

 

着床前スクリーニング導入に反対ではない理由

個人的には、この流れって良いと思うんですよね。ポコキンとしては ”着床前スクリーニング” の導入には反対ではないです。

以下に理由を書きます。

 

(結果的に)人工中絶選択の抑制につながる可能性がある

その前に、(条件あれど)羊水検査といった出生前診断が行われている日本において、極端なことを言えばすでに命の選別は行われていると思うからです。

羊水検査で陽性が出た場合、9割の人が人工中絶を選択している中、逆にこの着床前スクリーニングを行うことで、結果的に人工中絶という選択を減らせる・抑制できるのではないかとも思うんですよね。

個人的にこれが反対しない最大の理由です。

羊水検査というものを知り、陽性が出た場合の中絶を選択する割合は9割を超えるという事実を知り、衝撃を受けると共に、どこか納得してしまう自分もいました。

自分たちの胎児に陽性反応が出た場合、現時点でどういう判断を下すか正直分かりません。障害の有無で選ぶべきではないという倫理感と、現実的な感情との狭間で悩むだろうし、今決断を下すまでの想定はできませんね。

 

 

選別ではなく「レスキュー」と捉えてはどうか

かなり極論ですけど、命の選別というと異常のある胚盤胞を排除するというイメージが先行しますが(現実そうなんですけど)、逆に言えば良い胚盤胞を見つける検査と捉えれば良いのかなと思います。

例えば、数個の受精卵を凍結して一つを母体に戻し無事出産したとして、その後子供は不要とした時、残った凍結受精卵は破棄されますよね。

こういった行為と、着床前スクリーニングとの倫理観の違いに何があるのか。

あまり大差ないように感じるんですよね。

 

不妊治療助成金抑制へ資する

ドライな見方ですが、妊娠率向上と流産率の抑制につながれば、生産率(無事出産すること)は高まるはず。

与える影響はそれほど大きくはないでしょうが、生産率が上がれば結果的に不妊治療費用の抑制(治療期間の短縮)になり、助成金予算の抑制にも資するのではないかとも思います(ちょっと極論ですけどね)。

 

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まとめ

すでに欧米では導入されているこの着床前スクリーニング。

これまでは日本産科婦人科学会が禁止してきていましたが、今回臨床研究を実行に移す背景には、体外受精で誕生する子供の数が年間5万人近くになってきている現状を重視し始めた証なのだ思います。

この検査は妊娠率の向上と流産予防という点が期待されている一方で、命の選別につながると危惧することもわかります。この検査は、

 

胎児の根本である受精卵の障害の有無を確認し、母体へ戻すか戻さないかを判断する為の検査

 

ですからね。

障害の有無を許容するかしないかは人それぞれだし、だれもこの点について自分の考えを押し付けることはできないと思います。

でも、一つの選択肢としてこの着床前スクリーニング検査があることは、決して悪いことだとは思えませんし、出生前診断(羊水検査など)がある中、こういった検査があっても良いと思います。

まだ臨床研究の入り口段階ですので、正式に一つの選択肢として導入されるのはまだ先だと思いますが、気になったニュースだったので、自分なりの考えを書いてみました。

 

 

 

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2 件のコメント

  • 神戸の某クリニックは学会の指針に反してPGS(着床前スクリーニング)を実施していて、明らかな妊娠率向上と流産率減少があったと、お世話になったクリニックの体外受精の説明会で聞きました。私の主治医もPGSの効果を認めていたけど、学会での立場上現時点での導入は難しいそうで、でも解禁になったらすぐに対応できるように準備は進めていると言ってました。

    日本での導入はまだ先になりそうですよね。私は初めての移植がごく初期の流産だったので、PGSをやっていれば防げたんだろうな、どうせ解禁になるなら早くしてくれ、と思ってしまいました。

    命の選別って言うけど、新型出生前診断や羊水検査はOKで着床前診断はダメって、矛盾してるような気がします。

    • エスプレッソさん

      いつもコメントありがとうございます。
      実は私も神戸の某クリニックに関する記事を読んで着床前スクリーニングの件を知ったんです。
      かねてよりこの行為は指針に反し容認できないとしている日産婦が、これから臨床研究を始めるということで結構興味深い記事だなと。
      神戸の某クリニックについて書かれた以前の記事では、一般的な体外受精における妊娠率が25〜40%、流産率が30〜40%に対して、PGSを実施したところ妊娠率は70%、流産率は10%という結果が出たと書かれていました。
      (記事を読む限りですが)これほど明確な差が出ている事実が結構衝撃的だったんですよね。

      そして、おっしゃる通り羊水検査がOKで着床前スクリーニングがNGという理屈も何となく分からなくて。

      ちょっとセンシティブな部分に触れるものなので、少し書くのをためらいましたが。
      倫理観もわかりますが、不妊治療中の当事者としてはこのあたりの狭間がなかなか難しいですね。
      ありがとうございました。

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